色々あったヘッドホン界隈

 今回は、過去に話題になったことのある、ちょっと変わった商品をメインに取り上げてみたいと思います。
 基本的に、王道的な商品は取り上げません。そういえばこんな商品もあったなあ、位に思い出してもらえれば。
 と言っても、私自身が買ったわけではない製品ばかりのため、あくまで当時情報を追ってた時の思い出です。

 

AKG K1000
 耳の横でスピーカーを鳴らそうとして作ったヘッドホン的な何か、としか形容の出来ないヘッドホンです。今だとRAAL SR1aが形状的には近いでしょうか。
 当時のヘッドホンとしては極めて高い価格、ヘッドホンアンプでは音量の確保すら難しい能率の低さ、劣悪な装着感とセッティングの難しさ等、ある意味キワモノの最たる機種の一つでした。
 現行のMYSPHERE3の原型となったモデルでもあるでしょう。因みに駆動はスピーカー出力にアダプタを使用して駆動していたのが一般的?だったはずです。一応専用のアンプもあった模様。
 しかしそれでも、上手く鳴らせた時の音は素晴らしいということで、音質的な評価は非常に高かったと思います。ですが、それでもやはり変わり種の一種だったと言えるでしょう。

 

DenDAC
 傳田聴覚システム研究所という所が発売した約1万円程度のUSBDAC。ヘッドホンブームの最初の頃に発売されました。正確な時期は覚えていませんが、確か2006年前後だったはず。
 手ごろな価格、USBメモリ程の大きさ、PCのUSB端子に差し込むだけという簡単さ、音質などが評価されヒットした商品です。
 当時のキーワードは”原音超えてる”です笑
 多分発祥は2ちゃんねるだったと思うのですが、まあそれはネタとして抜きにしても、各所で議論が勃発してました。
 10万円を超えるHPAすら凌駕するという意見があったり、いや大したことないという意見があったり、基礎性能自体は悪くない、5万円程度までのヘッドホンアンプを買うくらいならこれで十分等など。
 場所によってはプチ炎上みたいなこともあったのですが、最終的な評価は価格のわりに音のいい手軽なデバイス、という辺りに落ち着いたと思います。
 設計は元バーブラウンの技術者の方が担ったそうで、実は結構気合の入ったデバイスだった模様。
 当時の廉価帯のヘッドホンアンプはクオリティの差が激しく、一種の魔境だったので余計に話題になったのかもしれません。
 なお、現在でもリファインを重ねて販売され続けているようです。

 

Audio Interu EXH-313
 オーディオインテルの独自技術である(と称する)UST技術なるものをオーテクのヘッドホンに組み込んだ機種。
 恐らくOEM元となったであろう機種の元値よりもかなり高い値段だったこと、肝心要のUST技術の解説が怪しさ満点だったことからいい意味でも悪い意味でも話題になったヘッドホン。UST技術の内容については記憶の彼方ですが、当時読んでみて非常に胡散臭く思ったことだけは覚えています。
 ですが、その怪しさの割に音質評価はかなり高かったように思います。一部にはいわゆる信者と呼ばれる類もちらほら見受けられました。
 当時の評価を考えるに色付け系の機種だとは思うのですが、そのチューニングがどうも絶妙だった様です。
 特にアコースティック系の音源においては、当時で最高機種の一つとする人も結構いました。

 

TAKET BATPURE
 ヘッドホンに並列接続するスーパーツイーターという変わり種。価格的にも6000円ほどとそれなりにお手軽に試せるもので少し話題になりました。
 しかし取り付けるには改造前提の品の上、その方法にかなり工夫が必要なためにあまり広まらなかった印象。
 人によってはヘッドホンのハウジングの外側に接続しても音が変わるとか何とか、もちろん真偽は不明。
 なお、未だに現行品として売っている模様です。

 

SONY PFR-V1
 思想的には、AKG K1000をもうちょっと現実的なヘッドホンとしてまとめられないか、ということで開発されたように見える機種。開発者の話では違うようですが。
 sonyとしてはあくまで耳の直近で鳴らすスピーカー(パーソナルフィールドスピーカー)という売り方でしたが、まあ扱いはヘッドホンの類でした。
 構造上低域がどうしても不足するために、エクステンデッドバスレフダクトという音響パーツを耳珠に乗せて固定し、それにより低域を稼ぐという苦肉の策。
 この辺りは言葉では説明しにくいために、ググってその装着画像を参照してください。
 音質評価は悪くなく、その開放感あふれる(というか遮蔽されていないし)音は、唯一無二と言ってもよい機種でもありました。当時K1000は既に入手困難になってましたしね。
 ですがやはりその独特の形状や使い勝手があまり良くない事、ダクトを使用しても低域の不足感は否めなかった事、当時としては最上位価格帯に属したことなどから、最高評価とまではいかなかった機種だと思います。
 私は店頭で試聴をしたことがありますが、これで得られる体験にこの価格を出すのはちょっと、となった記憶があります。

 

 取り敢えず今回はこんな感じで。その内何か思い出したら、続編を書くかもしれません。