マス工房 model370-CPレビュー

マス工房から発売されているヘッドホンアンプです。写真等を確認したい場合、公式はこちら。 入力はXLRとフォンのコンボ×1系統、出力はローゲインとハイゲインのシングルエンドが1つずつというシンプルな構成。 フォン入力が想定されている辺りは、やはり業務用をメインに考えられていることがうかがえます。 model370は可変抵抗(ボリューム)にアルプスミニデテントを、model370-CPは東京光音のコンダクティプラスチックタイプの物を使用しています。 レビュー時の構成はPC→Lyra2(デジタルアウト)→DA-N5→Indigo(アナログプリとして使用)→model370-CPです。

 

帯域バランス 音の特性は極めてフラット。どの帯域でも殆ど強調が無く、録音スタジオでマスモニとして使えるように設計されたというのも納得です。 低域方向、高域方向への伸びも申し分ありません。

音場 音場はかなり広いものの、やや特殊な描写をします。一定の所に壁があるような感じで、外側に広がっていく感じがしません。この感覚をより極端にすると密閉型ヘッドホンのような感覚になっていくのでは?と思います。 Grace Designのm904でも似たような描写だったので、音の分離や詳細な描写を重視するとこのような傾向になりやすいのかもしれません。

 

分解能 音を分離する能力は非常に高く、この点に限って言えば更に上位のレベルのHPAと比べてもそん色有りません。 情報の拾い上げについてもかなり詳細に描写するので、総じて分解能は極めて高いといってよいでしょう。

 

音の描写 全体的にやや細めの音ですが、基本的には余計な色付けや脚色を可能な限り排除した描写に感じます。 ですが先述の通りかなりの情報量を誇るので、それが音楽をつまらなくする方向へは働いていません。マスターモニターとして使えることが目的という本機種ですが、リスニング用途でも特に問題なく使用できると感じます。 但し、私自身が音楽制作系の機種を多く使用してきて、脚色や色付けをあまり行わない音を好むので、人によっては物足りないと感じる人もいるかもしれません。

 

駆動力 現在のヘッドホンの状況を考えれば駆動力は決して高いとは言えません。 HE-1000初代やBeyer T1初代あたりだと、私の聴く音量ではほぼマックス近辺まで回す必要があります。HE-6だとどうやっても音量が足りませんし、所有していませんが恐らくSUSVARAやAbyssも厳しいでしょう。 また音量を取れる範囲で言っても、しっかり鳴らすのに制動が重要なヘッドホンはあまり上手く鳴らせません。私の持っている機種だとBeyer T1とFostex TH900が該当し、高域がかなり暴れてしまいます。ですので、基本的には駆動力がそこまで要らないヘッドホンと組み合わせた方が良いでしょう。 特に平面駆動型の能率が低いヘッドホン群はかなり荷が重いので、それらを鳴らしたいならば別のアンプを検討した方が良いです。 T1で少し厳しいかなと感じるので、限界の目安としてはT1のやや手前辺りでしょうか。

 

まとめ 音場の描写にやや癖があるものの、駆動力を除けば基礎性能は非常に高く、可能な限り色付けや脚色を行わないアンプです。 同価格帯でこれを超えるような基礎性能を持つアンプを探すのはかなり難しいでしょう。 但し先にも書いた通り駆動力に関してはそこまで高い方では無いので、その点については注意が必要です。