STAXに関して思う事

※まず始めに、本記事はかなりネガティブな内容が含まれます。それが嫌な方はそっとページを閉じていただけると幸いです。

 

私は現在StaxのヘッドホンとしてSR-404、SR-L300 Limitedを所有しています。SR-404自体かなり古いヘッドホンですので、現行機種としてはSR-L300 Limitedのみと言えます。アンプはSR-404とセットのSRM-006tAを使っていましたが、Solarisを購入してからはこちらのみを使用しています。

さて、私は現状ではStaxに関しては今後追及する意欲をかなり失ってしまっています。それはSR-404からSR-L300 Limitedへの音質の変化、そしてSR-009とSR-009Sを試聴して、STAXが目指している音は私の求める方向性ではないと思ったからです。

この先の記述はあくまで私個人の見解です。あくまでこう感じる人もいるよ程度に受け取ってください。

 

私が最初にSR-L300 Limitedを聴いたときに感じたことは、「Staxは音の透明さに極振りすることにしたんだな」という事でした。そして、その過程で見過ごすことのできない情報の欠落があるように感じました。透明性を追求するために、要らないものだけでなく要るものも一緒に捨ててませんか?という事です。 もっとも、この時点ではまだそこまで気にしていませんでした。SR-L300 Limitedは10万円未満の中堅機種ですから、上位のSR-009辺りならば問題は無いだろうと考えていたのです。 しかし、2018年のポタフェスでSR-009とSR-009Sを試聴し、SR-L300 Limitedに感じたものと全く同様の感覚を覚えてしまいました。確かに基礎能力は段違いに上がりますが、やはり情報の欠落があるように感じます。もう少し言い方を変えれば、「あまりに奇麗過ぎる」のです。 開放型は試聴では中々その真価を理解し難いとはいえ、それはその時に試聴した他社のフラグシップの開放型も同条件です。ですが、この情報の欠落はStaxだけにある特有の症状に感じてしまいました。静電型特有の鳴り方という線も考えましたが、同じ静電型のShangri-la jrでは感じなかったのでそうとも言い切れません。

 

ウェブ上での評価を見る限り、こんなことを言っている人は見かけないので、私自身が何かを勘違いしている可能性は大いにあります。あるいは、自宅でしっかりと条件を整えたうえで聴き込めば、全く違う感想を持つのかもしれません。 ですがそれを勘違いで済ませられない可能性もあり、少なくとも現時点では今後Staxのヘッドフォンを買う優先順位は相当に落ちています。下手をすると、考慮のリストに挙げるかどうかすら迷うレベルになってしまっています。

 

市場のヘッドホンを分類すれば、概ねダイナミック型、平面磁界型、静電型の三つに分けられると思います。そして、それらが未だに収斂されていない事を鑑みれば、それぞれに長所・短所があり、明確に全てで優越している方式は無いのだろうと私は考えています。 よって、それぞれの方式を許す限り追っていきたいのですが、静電型はStaxが今後何かのブレイクスルーを起こさない限りしばらく保留することになるでしょう。 一応フラグシップクラスであればMr SpeakersのVoceやHifimanのShangri-la jrもあるのですが(HE-1やShangri-laは高価過ぎるので除外)、継続性に大いに疑問があります。現時点での良い音を求めるならばありかもしれませんが、HifimanやMr Speakersの現状のやり方を見ているとあまり買う気になれません。 warwick acousticのSonoma Model Oneもありますが、あれは他の機種との互換性や接続を全く考慮していないので、静電型というよりはSonomaという方式と私は捉えています。アナログ入力も全部AD変換してDSPで処理してから再度DA変換しますしね(外部DACが意味をなさない=DA-N5が意味をなさない)。音は素晴らしいのでしょうが……

 

そんなわけで、今後しばらくは静電型は様子見が続くと思われます。 願わくば、今後「絶対に買いたい」という衝動を引き起こしてくれるような機種が登場して欲しい(そしてそれはStaxであって欲しい)と思います。